過労の症状
過労とは、人間が過度に働き続け、長期間に蓄積された疲れが限度を越えた時の症状です。人間の身体と心は、疲労が限界を越えると弱い部分に異常が発生します。それが病気というものですが、人間は一人一人弱い部分が違い、また過労にさらされる部分や期間が違うために、その症状は千差万別です。
つまり、過労から発生する症状を「過労病」とすると、その医学的な病名は実に様々なものになります。例えば内臓が弱い人は慢性胃炎、胃潰瘍、あるいは慢性腸炎や過敏性腸症候群というような病名になるかもしれません。
心臓に問題がある人は、不整脈や高血圧、心臓神経症などが考えられます。神経系が弱い人なら多発神経炎、神経痛、慢性疼痛症候群、耳鼻科に親しい人はメニエル症候群等、要するに自分が一番弱い部分が病気になるわけです。
部分ではなく全身性障害なら自立神経失調症、婦人科的には更年期障害、心療内科的には鬱病などが出る可能性があります。
これらの病気は、もちろん複合することもありますし、また別々に同時に発症することもあります。ここで重要なのは、過労というものはその病気の直接的な原因ではないということです。つまり、過労が重なったために高血圧や神経性胃炎が出たのではなく、もともとその人が内包していた病根が過労によって表に現れたというべきでしょう。
その意味では、過労というものは美容期やその原因ではなく、状態というべきかもしれません。なぜかというと、どれくらい長時間続けて疲れが蓄積されたら過労、というような基準がないからです。過労気味です、ということは言えますが、はっきり過労ですと言い切りには根拠が不足しています。
そもそも、原因が過労であっても、実際につけられる病名は別のものです。よって独立した過労の症状というものはないわけですが、逆に言えば病に至る前段階が過労の症状ということもできます。まず身体的疲労やストレスで元気がなくなり、疲れた顔やため息が増え、動作が鈍くなり、記憶力や思考力が減退します。ただし、これらの症状は単に一時的に疲れているとか、何か大きなショックがあったとか、別の原因かもしれません。
それでも、医師はしばしば過労ですという言葉を使いますし、また患者もそれで納得します。その疲れていた期間が、ある人は十年だったかもしれないし、また別の人は半年だったかもしれませんが、身体が限界に達した時点が「過労」なのでしょう。それは、一人一人違うものです。
